アイフレイル
「アイフレイル」とは、加齢に伴う目の衰えにさまざまな外的要因が加わり、目の機能が低下した状態、またそのリスクが高い状態を指します。最初のうちは自覚しないことも多いかもしれませんが、徐々に視機能に障害があらわれてきます。この時期に適切な治療・対処を行うことにより、進行を抑えることができます。しかし、放置して重度の視機能障害に至ってしまうと、回復は難しくなります。
視機能障害を持つ人の割合は年齢とともに上昇し、2019年に新たに認定された人の65.1%が70歳以上で、2030年には200万人に達すると推計されています。
アイフレイルのチェックリスト
以下に該当する項目があれば、アイフレイルの兆候があるかもしれません。
もし2つ以上当てはまる項目があれば、目の健康が低下している可能性があります。早めに眼科での検査を受けましょう。
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- 目が疲れやすくなった
- まぶしく感じやすくなった
- 夕方になると見にくくなることが増えた
- はっきり見えない時にまばたきをすることが増えた
- 新聞や本を長時間見ることが少なくなった
- まっすぐの線が波打って見えることがある
- 食事の時にテーブルを汚すことがたまにある
- 段差や階段が危ないと感じたことがある
- 眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
- 信号や道路標識を見落としそうになったことがある
アイフレイルの予防と対策
アイフレイルは自然な老化現象ですが、早めに対応することで進行を遅らせることが可能です。特に白内障や緑内障、加齢黄斑変性といった目の病気は、初期には自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。定期的に眼科検診を受けることが、目の健康を守るための重要なステップです。
眼科受診のすすめ
40歳を過ぎて見づらさや目の違和感を感じたら、早めの受診をおすすめします。早期に対処することで、長くクリアな視界を保つことができます。
ドライアイ
目の表面に涙が均等に行きわたらなくなり、乾燥して傷つきやすい状態になっています。
ドライアイの原因
ドライアイは涙の量が減る、あるいは質が変化することによって起こります。涙はまばたきの刺激で分泌が促進されて表面に均等に行きわたるため、まばたきの回数が減ることも原因の1つです。集中して何かを見ていると無意識にまばたきの回数が減ってしまいます。そのため、パソコンやスマートフォンを長時間使用する方にドライアイが増えています。コンタクトレンズ装用、エアコンなども目を乾燥させやすく、リスクになります。また加齢により涙の量や質が変化してドライアイを発症しやすくなります。こうした要因により日本でのドライアイ患者数は2,200万人とされるほど増加傾向にあり、子どもから高齢者まで幅広い年代層にみられます。
ドライアイの治療
点眼薬
ドライアイ治療では点眼薬による治療が基本になります。点眼薬は水分を補給するだけでなく、涙の分泌を促すもの、目の表面に水分を保ちやすくするものがあり、表面の水分が十分に保たれることで傷の修復促進にもつながります。点眼薬は様々ですが粘度が高く水分を保ちやすいヒアルロン酸点眼薬、涙の分泌を促進させるジクアホソルナトリウム点眼薬やレバミピド点眼薬などがあります。目の状態に加え、どのくらいの頻度で点眼できるかといったライフスタイルも考慮することが重要です。
涙点プラグ
通常は余分な涙が涙点から排出されますが、点眼薬で十分に改善しない重症ドライアイの場合には、涙点プラグを挿入して涙点を塞ぐことで目にとどまる涙の量を増やす治療を検討します。点眼麻酔を施しつつ専用の器具を用い、痛みに配慮して挿入します。
対策
意識してまばたきの回数を増やす、室内の乾燥を避けエアコンの風などが顔に当たらないようにする、目の周りの清潔を保つという3点が特に重要です。パソコンやスマートフォンを長時間利用する場合は1時間毎に10~15分程度の休息をとり、目を休めるよう心がけましょう。またオフィス等では卓上加湿器での加湿を必要に応じて検討しましょう。市販のホットアイマスクで目の周りを温めることも有効です。
眼精疲労
目を酷使することで、十分に休息や睡眠をとっても症状が回復しなくなっている状態です。代表的な症状には目のかすみ、痛み、まぶしさ、充血に加えて、肩や首のこり、頭痛、吐き気、めまいなど目以外に症状が現れることもあります。
眼精疲労の原因
眼鏡やコンタクトレンズが合っていないと眼精疲労を起こしやすくなります。またパソコンやスマートフォンを長時間使用することにより発症する方も増えています。目の筋肉は近くにピントを合わせる時に収縮するため、近い距離を長時間注視していると緊張が持続して疲れが蓄積します。特にパソコンやスマートフォンは近い距離にある画面を見続けるため、眼精疲労のリスクが高まります。他にもストレスや不安などにより生じたり、全身疾患の一症状として現れることもあるため注意が必要です。
眼精疲労の治療
症状を和らげるために点眼薬や内服薬で治療を行いますが、眼鏡やコンタクトレンズが合っていなければ新しく作り直すなど、根本的な原因に合わせた治療が重要です。仕事などでパソコンを長時間使う場合にはデスクや椅子の高さや位置、モニターの角度などの環境を整え、一定時間ごとに目を休めるなど生活習慣を改善することで症状の緩和が期待できます。
飛蚊症
明るい所や白い壁を見ると小さな虫や透明な糸くずなど浮遊物が飛んでいるように見えることがあります。視線を動かすと追いかけるように移動することもありますし、下にゆっくり落ちて行くように見えることもあります。形、大きさ、数は様々です。普段は無症状で、青空を見て気づかれることもよくあります。ご高齢の方に多い症状ですが、若くして飛蚊症を自覚されることも珍しくありません。失明につながる深刻な疾患の前兆として現れることもあり、見え方が変化する際には受診をおすすめしています。
飛蚊症の原因
加齢による生理的飛蚊症、疾患による病的飛蚊症に大きく分けられます。生理的飛蚊症は眼球内部を満たすゲル状で透明な硝子体が変化して、その影が網膜に達することで生じます。病的飛蚊症は網膜に穴が開く、剥がれる、あるいは硝子体内部への出血、炎症などにより生じますが、放置すると失明につながる可能性があるため、できるだけ早い受診が必要です。
飛蚊症の治療
ほとんどの場合は治療の必要がありませんが、病的飛蚊症では大幅な視力低下や失明の可能性があり、早期に診断の上で治療を開始することが重要です。飛蚊症の症状に気づいたら早めの受診をお勧めいたします。急激に見える量が増えた、片目で見ると見づらい部分がある、暗い場所でもピカッと光って見えるなどの症状がありましたら特に注意が必要です。病的飛蚊症では手術が必要になることもありますが、その際には近隣の専門施設などで速やかな治療を受けていただけるようにご紹介させて頂きます。