硝子体注射(抗VEGF治療)について
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加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、病的近視などの網膜疾患により、黄斑部に浮腫(むくみ)が生じると、視力低下、ものがゆがんで見える、中心が暗く見える(中心暗点)といった症状が現れます。これらの疾患では、新生血管の異常な増殖や黄斑浮腫の悪化に「VEGF(血管内皮増殖因子)」という物質が関与していることが知られています。
抗VEGF治療は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に直接注射し、病気の進行を抑え、浮腫を改善する治療法です。当院では、抗VEGF薬としてラニビズマブBSおよびアイリーアを採用しています。治療は硝子体注射という方法で行い、病状によっては複数回の注射が必要です。治療後も定期的な検診が推奨されます。
まれに、脳梗塞や心筋梗塞を発症するリスクが報告されています。脳卒中や心臓病の既往がある方は、診察時に必ずお申し出ください。
硝子体注射の治療方法
- 感染リスクを最小限に抑えるため、当院では手術室で行っております。
- 注射前には、目の周囲と目の表面を消毒し、注射を安全に行うために器具で目を開けます。
- 注射は顕微鏡を用いて白目の部分に薬剤を正確に注入します。点眼麻酔を使用し、注射時に強い痛みは感じませんので力を抜いて下の方を見ていただければ、注射自体は1〜2分ほどで完了します。
- 治療後は会計を済ませた後、日帰りでそのままご帰宅いただけます。
治療スケジュール
抗VEGF薬硝子体注射は、病状が安定するまでに数回、毎月の治療が必要となる場合があります。また、病状によっては再発することもあります。自覚症状がないまま病状が進行する可能性があるため、安定後も定期的な受診が不可欠です。失明予防のため、定期的に検査を受けるようにしてください。
加齢黄斑変性症
導入期として毎月3回の治療を行い、4回目以降の維持期では2か月ごとの治療が一般的ですが、病状に応じて治療間隔を調整します。
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫
視力が安定するまで毎月数回程度の治療を行い、その後は定期的に経過を観察して必要に応じて追加します。
病状に応じて失明予防のためレーザー治療を組み合わせる場合があります。
硝子体注射の注意点
硝子体注射の傷口から細菌が入り眼内炎という感染症を起こす事が報告されています。頻度は極めて稀ですが、一旦発症すると重篤な視力障害を引き起こす可能性があります。そこで感染症を予防するため、下記のような一定の制限をしっかり守っていただく必要があります。
入浴
注射当日は首から下の入浴は可能ですが、首より上に水がかからないよう注意して入浴してください。
洗髪・洗顔
注射当日は禁止です。翌日から普段通りできます。
メイク
注射当日は行えませんが、翌日から普段通りできます。
TV・スマートフォン・パソコン・読書
注射当日から可能です。ただし目が疲れない程度にとどめてください。
仕事
翌日からデスクワークなどであれば問題なく行えます。
力仕事は目にも無意識に力が入ってしまうため数日間は控えてください。
運動
数日間は激しい運動、プールは控えてください。